[原子力産業新聞] 2002年10月3日 第2155号 <3面>

[米DOEとUSEC] 遠心分離技術で協力協定

米ウラン濃縮会社(USEC)は9月19日、ガス遠心分離法ウラン濃縮の先進的な技術研究開発で米国エネルギー省(DOE)と協力協定を締結することになったと発表した。

この協定(CRADA)の有効期限は2007年6月までで、総予算の1億2100万ドル(約148億円)はUSECが拠出することになる。DOE側からは、DOEの契約会社であるバッテル社が運営するオークリッジ国立研究所の技術スタッフが参加する予定。DOEが過去20数年間に30億ドル(3660億円)を投入して実証してきた遠心分離技術をもとに、見本となるカスケード試験施設を開発してさらなる改良点を探るとしている。USECのD・スパージェン副社長によれば、2005年にも高効率の次世代型遠心機240台から成るクローズド・サイクルの実規模モジュールを稼働させ、今世紀中に商業規模の濃縮工場の操業開始につなげたい考えだ。

USECが拠出する予算のうち2850万ドル(約35億円)はバッテル社が受け取り、DOEが開発した技術を改良する具体的な設計、試験、分析作業を今後数年の間に実施。その後、USECがカスケード試験施設用機器の設計と試験を行うことになる。USECはすでに今月5日、ケンタッキーおよびオハイオの両州から同カスケード試験施設の誘致提案を受けたと公表。この本格的な試験施設の操業によって、総工費10億〜15億ドルを予定している商業規模の工場建設に必要なコストや性能、スケジュールなどの最新データを得るとの考えを表明した。USECはまた、商業規模の濃縮工場プロジェクトが始動すれば、建設・製造作業の契約に伴い地元では数100の雇用が創出されるほか、工場完成後も約500の雇用が確保されるとの見通しを示した。


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