[原子力産業新聞] 2002年10月10日 第2156号 <2面>

[原子力安全委員会] 京都で安全目標パネル討論会開催

原子力安全委員会の安全目標専門部会(部会長・近藤駿介東大院教授)は五日、京都市の京都リサーチパークでパネル討論会「リスク社会で安全を得る‐原子力は特別なのか‐」を開いた(=写真)。

同専門部会が現在検討中の安全目標について、今後策定される目標が社会において広く受け入れられるために、専門家のみならず、様々な立場からの意見を聞くことをねらいとして開催したもので、安全目標のあり方、リスクの考え方などをめぐりパネリストと会場参加者の間で活発に意見交換が行われた。

パネル討論では、パネリストとして出席した近藤駿介部会長が、検討している安全目標の姿について説明。会場参加者との意見交換のなかで同氏は「社会に通訳可能なものにし、議論ができるようにすること、社会とのつながりをもった仕組みを作ること」が安全目標策定の重要な意味あいであることを説明した。土屋智子・電中研経済社会研究所主任研究員は席上、同研究所での調査結果を示しながら「市民のリスクの感じ方は専門家とはまったく違う」などと認識ギャップを指摘。安全目標の検討にあたり、率直に情報を提供することや議論の目的を明確とすること、専門家の間でもきちんとリスクの問題が語られるようにすることなどが必要とした。

阿部清治 ・日本原子力研究所原子炉安全工学部長は確率論的安全評価手法によるリスクの定量化と安全目標の設定についてコメントし、これまでの知見ではわが国の原子力発電所の事故によるリスクは、既存の米国における安全目標を十分満たすものであること等を紹介。また安全目標は安全基準や指針等の根拠を示すものとして使われるべきとの考え方を示した。


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