[原子力産業新聞] 2002年10月10日 第2156号 <3面>

[米NRC] 商業炉でのトリチウム生産承認

米国原子力規制委員会(NRC)は9月24日、テネシー峡谷開発公社(TVA)がテネシー州のワッツバー原子力発電所(=写真)(121万キロワット、PWR)で軍事用トリチウムが生産できるよう認可修正することを承認した。

この修正により、TVAはワッツバー発電所にトリチウム生産用の核分裂性中性子吸収棒を18か月間の一燃料サイクルで最高2304本まで装荷することが可能になった。この吸収棒ではホウ素の代わりにリチウムを使用。これはエネルギー省(DOE)が開発した技術で、NRCは97年に試験的に同発電所に32本の実験用吸収棒を装荷することを決定。DOEは99年春にこの吸収棒を同炉から取り出し、トリチウムの生産性能を確証した。

TVAとしては来年秋にも実際にトリチウム生産を開始したい考えで、照射後の吸収棒はDOEのサバンナリバー施設に輸送。同施設でDOEがトリチウムを抽出することになる。DOEは最大30年間のトリチウム生産を予定しており、ワッツバーのほかに、やはりTVAがテネシー州内に所有するセコヤー原子力発電所(各118万キロワット、PWR2基)も予備の原子炉として99年に選択。TVAがNRCに提出した同発電所でのトリチウム生産認可は数週間以内に発給されると予想されている。


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