[原子力産業新聞] 2002年10月10日 第2156号 <3面>

[スイス] 議会下院、再処理のモラトリアム案を否決

スイス原子力協会が伝えたところによると、スイス議会の下院にあたる国民議会は9月23日、連邦政府の新しい原子力法案を巡る票決で使用済み燃料の再処理に10年間のモラトリアムを導入する提案を77対76の僅差で否決した。

この提案は2006年以降、新規再処理の10年間凍結を狙ったもので、全州議会(上院)は今年初頭、この提案を承認していた。今回の下院の否決を受けて、上院はこの問題について再び審議しなければならない見込みだが、既存の契約が完了した後の再処理を「完全に禁止」という政府提案を否定している点では両院ともに見解が一致。また、次の3点でも両院は合意に達している。

(1)既存の原子力法同様、新しい原子力法でも現在国内で稼働する原子炉5基の運転寿命に一定の制限を設けない。(2)来年末までに国民投票にかけられることになっている反原子力請願2件は否決すべきであり、新たな原子力法はこれら2件への対抗提案と位置づけられるのが妥当。(3)スイスは使用済み燃料および放射性廃棄物をどこかに処分するという選択肢を維持。

一方、両院の間で今後の意見調整が必要な問題としては、(1)使用済み燃料/廃棄物の地層処分場関連認可(建設、操業、閉鎖)で連邦政府の承認を地元の州当局が阻止する権限(2)再生可能エネルギー源開発支援のために原子力に課税するか否か‐‐などがある。


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