[原子力産業新聞] 2002年10月26日 第2158号 <2面>

[原子力委員会] 加速器検討会、加速器利用の実態調査まとめる

原子力委員会の加速器検討会が21日開催され、国内外の加速器(放射線発生装置)の利用実態調査について報告を受け、今後の検討課題の審議を行った。

実態調査は三菱総合研究所に委託してとりまとめたもので、国内で加速器を保有する医療機関や研究所、大学、メーカーなど853機関に調査し、672機関から回答を得た。

その結果、日本では加速器保有機関は七割が医療機関で、教育機関・研究機関が所有する比率はそれぞれ4.8%、12.7%(装置ベース)であることがわかった。加速器の開発・利用の最先端を担うべき両機関で17%程度にとどまり、設置してから年数が経っているものも多いため最先端研究を担うには全面的または部分的にも大規模改修、更新が求められている加速器が多い状況もわかった。とはいえ、国内の利用実態としては広範な分野で活発に利用されている状況がみられ、共同利用形態としても原子核物理や医療、生命科学などの分野で活発に行われているという。

調査報告は、これらの調査結果から今後国内で加速器開発・利用の推進にあたっての課題について、研究・教育機関に対しては加速器利用基礎研究への支援(運転・保守コストへの支援を含む)、人材の育成に関する体制の整備、アジアを含む国際共同利用の推進をはかることで最先端研究を担う態勢の整備が必要としている。

また医療機関や民間には大型加速器とは区別して設置・廃止手続きの簡素化、加速器の規制エネルギー(現行一MeV以上)の緩和など、法規制上の緩和が求められるとしている。

実態調査を受けて、各委員からは、人材育成などの対策の方向性を明確にし、そのためのサポート体制を示すことや、法規制緩和にあたっても審議にあたり専門家を入れて具体的な検討を進める必要があるなどの意見が示された。検討会は次回以降に、今回まとめられた実態調査を踏まえ検討課題の整理を進めることとした。


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