[原子力産業新聞] 2002年10月26日 第2158号 <3面>

[フランス・CNE] 廃棄物管理研究で中間報告

フランスで放射性廃棄物の長期的な管理研究に関して責任を負う国家科学評価委員会(CNE)は14日、年次報告書の中で、2006年に全体的な比較評価を行う予定になっている3分野の廃棄物管理方法について研究の進捗状況を明らかにした。

仏国では91年12月に成立した放射性廃棄物に関する九一法に基づき、(1)長寿命核種を分離・核変換する技術(2)廃棄物を深地層に回収可能、あるいは回収不可能なケースで処分する技術(3)使用済み燃料などの廃棄物をコンディショニングし、長期間にわたって地表に貯蔵する技術‐‐について、並行して研究開発を実施中。これらのうち、(3)の作業は「著しく進展した」との評価を下す一方で、(1)と(2)については当初の計画より遅れ気味であり、何らかの対策が必要との判断を示している。各分野の進展状況は次の通り。

▽分離・核変換=長寿命核種の「分離」研究は概ね順調に進んでおり、大抵の工程は2006年までに技術的な実行可能性を実証できる見込み。しかし、マイナー・アクチニドの分離後の核変換に関しては複雑な課題が複数、顕在化している。その中でも大きな課題は、変換実験に欠かせないフェニックス高速炉が効果的に活用し難い、欧州における核分裂関連研究の中では優先順位が低い‐‐などの点。特に、粒子加速器と臨界未満原子炉を組み合わせた新しい欧州研究施設の建設計画に遅れが生じており、核変換研究への貢献が危ぶまれている。また、欧州連合(EU)の新規研究プログラムにおける予算配分も約30%に留まっており、不十分と言える。

▽深地層処分=仏国東部のビュールで進められている地下研究所建設計画と密接にリンクする分野だが、主要シャフトの掘削が遅れており、最大の不安要素となっている。シャフトで最深部まで到達するのが2003年末、当初今月末を予定していた1本目の横坑掘削は2004年以降にズレ込む模様。これに伴い、横坑での研究活動には2年間しか確保できない計算で、基礎的な地層観察や岩盤の構造に関する実験などには十分だが、粘土層中の液体流動や地質学的な特性に関する実験は2006年までに予備的な結果しか得られないことが予想される。さらに懸念されるのは第二研究所計画の遅れ。九一年法では岩盤を特定していないが、CNEとしては花崗岩層での建設を真剣に考慮すべきだと考えている。

▽コンディショニング・長期貯蔵=ここでは使用済み燃料のように最終処分前に数10年間の長期貯蔵が必要なタイプの廃棄物について管理技術を研究中。近年の進展には目ざましいものがあるが、成功のカギは締切り期限や義務事項が含まれる良質なエンジニアリングの存在にかかっている。


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