[原子力産業新聞] 2002年10月26日 第25821号 <面>

[石川島播磨重工] CERNから設備受注

石川島播磨重工(IHI)はこのほど、世界最大の粒子加速器「LHC(大型ハドロン加速器)向け「極低温ヘリウム冷却設備」1基を完成して、CERN(欧州合同原子核研究機関)に納入したことを明らかにした。

これは1999年6月にスイスの極低温関係の大手エンジニアリング会社・リンデ社と共同で、CERNから受注した粒子加速器の超電導磁石の冷却に用いられる1.8ケルビン(マイナス271.35度)のヘリウム冷却設備としては世界最大容量の2.4四キロワット「極低温ヘリウム冷却設備」4基の内の1基となるもの。

残り3基の完成、引き渡しは2004年10月の予定だ。

今回の引き渡しに先立って行なわれた性能試験では、仕様を上回る性能(約10%の電力消費量の削減)で保証値を達成、CERNから高い評価を得た。

今回の受注にあたりIHIは、リンデ社とコンソーシアムを組み、システムの要となる超低温及び常温コンプレッサを担当、コンソーシアムリーダーとしてプロジェクト全体のマネジメントを担っている。

また、リンデ社はシステムエンジニアリング、一部機器の調達および据付、試運転を担当している。

CERNでは、高レベルの素粒子研究を目指す「 LHC(大型ハドロン加速器)計画」が2005年に稼動を予定している。

日本政府も1995年5月にこの計画に参加することを決めている。

加速器に用いられる超電導磁石の性能を向上させて加速エネルギー値の向上を図るには、運転温度を下げる必要があり、超電導磁石は1.8ケルビンまで冷却させなくてはならない。

今回、石幡が受注した「極低温ヘリウム冷却設備」は、この超電導磁石の冷媒である液体ヘリウム温度を下げるために用いられるもの。


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