[原子力産業新聞] 2002年10月26日 第2158号 <9面>

[特集] ねむり病とは

ねむり病(アフリカ・トリパノソーマ)は、アフリカのサハラ以南36か国に広がる大変危険な病気。近年、戦争や人口移動の増加、保健制度の崩壊により感染者が急増している。この病気と闘うためには、治療薬が継続的に供給されること、新薬の研究開発が進められることが重要。

▽ねむり病で1999年に約6万6000人が死亡

▽6000万人が感染の危機にさらされており、そのうち診断と治療がうけられるのは7%にすぎない

▽1960年代までにほぼ根絶されたと思われていたが、最近になって復活の兆候を見せている

▽推定30万〜50万人が感染しており、この数はさらに増加する傾向にある

▽適切な治療を受けなければ、患者は2、3週間から2、3年の間に100%死亡する

ねむり病はツェツェバエの吸血時に唾液を通して寄生虫が体内に注入されて起こる病気だ。

ねむり病には2つの段階があり、発熱と倦怠感が特徴の第1期では、ねむり病と診断することは難しいが、治療は容易。治療を行わないと、寄生虫は進行を続け、感染後2週間から数年の間に脳に達する。第2期になると患者の行動に変化が見られる。患者は精神錯乱をきたし、痙攣をおこしたり乱暴になったり、狂気を呈することもある。患者によっては昼間眠り続け、夜眠れなくなってしまう。第2期の段階でねむり病と診断することは第1期に比べて簡単だが、治療はより困難になる。治療しなければ患者は昏睡状態に陥り死に至る。これがねむり病と名のついた所以。(「国境なき医師団」の資料より)


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