[原子力産業新聞] 2002年10月31日 第2159号 <2面>

[原研と高エネ研] 大強度陽子加速器で着工式典

日本原子力研究所と高エネルギー加速器研究所が、茨城県で進める共同プロジェクト「大強度陽子加速器施設」の着工記念式典が28日、茨城県ひたちなか市のホテルクリスタルパレスで行われた(=写真)。

会には、元文部大臣兼科学技術庁長官の有馬朗人参議院議員をはじめ、今年ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東京大学名誉教授も出席。冒頭、現状報告を行った永宮正治プロジェクトリーダーは、(1)中性子やミュオンによる物質生命科学(2)K中間子やニュートリノによる原子核素粒子科学(3)中性子による各変換開発研究‐‐を「プロジェクトの三本柱」と述べるとともに、「高レベル放射性廃棄物を核変換処理することにより、半減期を約200分の1に短縮出来る」ことなど、研究内容について具体例を挙げて説明した。

また、有馬議員が引き続き、特別講演「21世紀と科学技術と大強度陽子加速器施設」を実施。「科学技術庁長官としてかかわれたプロジェクトが、こういった段階を迎えてうれしく思う」とするとともに、同プロジェクトについて「21世紀の科学技術の発展を担うもの」と、その意義を強調。加えて、施設の建設が、科学と技術の更なる発展に寄与することに、期待の念を示した。

なお、これに先立つ24日には、大強度陽子加速器施設の愛称が「J‐PARC」と決定された。「J‐PARC」は、「Japan Proton Accelerator Research Complex」の略で、「ジェイパーク」と読む。この愛称の決定に際しては公募を行い、内外から207点の応募があった。

「パーク」は音的に英語の公園に繋がり、施設を設置する場所である東海村村松地区の松林の風景とも結びつく名称であることや、覚えやすく、読みやすく、聞きやすい言葉であること。

また最初の“J”の文字については、“Joint”の“J”とも解釈できるので、原研とKEKの共同プロジェクトであることも示し得るとの理由から決まったという。


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