[原子力産業新聞] 2002年10月31日 第2159号 <2面>

[原文振] エネ戦略テーマにシンポ開催

日本原子力文化振興財団は25日、「欧米のエネルギー戦略と日本」をテーマに、「第39回原子力の日記念シンポジウム」を東京都千代田区の有楽町朝日ホールで開催した。

冒頭、挨拶した秋元勇巳理事長は、一昨年のJCO、今年に入っての東京電力の問題など、「ボディーブローを受けたような衝撃の中にある」とした。また、原子力を除外して21世紀の地球環境に対応できるようなエネルギー政策は難しいとの考えを示し、「こういう時期だからこそ、原子力関係者は初心に戻って国民の皆様に信頼いただけるよう、努力していかなくてはいけない」と訴えた。

パネル討論に先立ち国際政治学者の浅井信雄氏(=写真)が、「国際政治とエネルギー問題」と題して講演、今日、世界中で展開されている国際政治上の問題や紛争と、エネルギー資源を巡る各国の対応などについて講演を行った。同氏はその中で、23日夜に起こったチェチェン武装グループによるモスクワの劇場占拠事件に触れ、「この問題も単に、独立したがっているチェチェン、それを猛烈に弾圧してきたロシアという構図で考えるだけでなく、その根底にはエネルギーの問題があることを見逃すわけにはいかない」と強調。

原子力問題については、日本人にとって非常にデリケートな問題であると強調した上で、具体的な対策として(1)環境問題(2)経済問題(3)世論‐‐の3つの要素が重要とした。

続いて行われたパネル討論では、欧米とは異なる環境にある日本のエネルギーのあり方などについて様々な観点から議論が行われた。


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