[原子力産業新聞] 2002年11月7日 第2160号 <3面>

[ドイツ] 連立政権、原発一基の閉鎖決定

ドイツの緑の党と社会民主党(SPD)による連立政権は10月14日、エネルギー・バーデン・ビュルテンベルク(EnBW)社が運転するドイツで最古のオブリッヒハイム原子力発電所(35万7000キロワット、PWR)は2005年の後半に永久閉鎖するとの方針を明らかにした。

2000年に政府と主要な電力会社との間で結ばれた原子力発電所の段階的廃止に関する合意事項に従うと、同発電所は来年春にも割当ての発電電力量に到達して閉鎖される予定だった。EnBW社は当初、同国で最も新しいネッカル原子力発電所2号機(136万5000キロワット、PWR)から割当て発電量・150億キロワット時をオブリッヒハイム発電所に移し、5年半の操業延長が図れるよう9月26日に正式に申請していたが、連邦環境・原子炉安全省(BMU)は政府内での検討の末、この申請を却下。その代わりにネッカル2号機より古いフィリップスブルク1号機(92万6000キロワット、BWR)の割当て分55億キロワット時をオブリッヒハイムに移すよう提案し、運転期間の延長は約2年間にするということで政府内で妥協が成立したと言う。

今回の決定についてBMUのJ・トリッティン大臣は、「古い原子炉は比較的安全レベルの高い新しい原子炉よりも先に閉鎖すべきだから」と説明した。しかし産業界側としては、同発電所閉鎖問題の取扱いが連立政権内部でも微妙であることから、運転延長を認める一方で閉鎖時期が同政権の任期内に納まるよう図ったものとの認識を示している。

EnBW社のG・ゴール最高経営責任者も、「手放しで満足な結果というわけにはいかないが、この決定を直ちに撥ねつけるのではなく慎重に検討してみたい」と言明。政府側の判断にも一定の理解を表明するとともに、この決定について同社取締役会が近く協議することになるとコメントしている。


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