[原子力産業新聞] 2002年11月14日 第2161号 <1面>

[国連安保理] イラク、決議受諾を要求

国連安全保障理事会は8日、イラクに対し、「大統領宮殿」を含む全施設への即時、無妨害、無条件、無制限の査察受入れを求める「決議案1441」を全会一致で可決、イラクに対し、7日以内に同決議を受諾するよう求めた。

同決議は、国際原子力機関(IAEA)と国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)が45日以内に査察を再開するよう求め、イラクが妨害を行った場合は、「深刻な事態を招く」と警告している。

これを受けてイラク政府は13日、アナン事務総長に同決議にもとづく現地査察を受け入れる旨の書簡を出した。イラクのアル・ドゥーリ国連大使(=写真)は、「我々は査察団を受け入れる用意がある」と述べた。アナン事務総長は、イラクが決議を受諾するだけでなく、「それを実行しなければならない」とし、「これからが本当の試練だ」とイラク政府に協力を呼びかけた。エルバラダイIAEA事務局長とブリックスUNMOVIC委員長は、18日にも先遣隊を率いてバグダッド入りする予定。

同決議案は米国と英国が共同提案していたもので、最終案からはイラク側の妨害が米国等の武力行使を「自動的に引き起こす」などの表現が削られたものの、米国のネグロポンテ国連大使は、イラクが査察妨害に出た場合、単独での武力行使もあり得るとの立場を確認した。

新決議にはさらにイラクに対して、30日以内に、軍用以外も含む同国のミサイルと化学、生物、核兵器など大量破壊兵器開発の全容をIAEAとUNMOVICに報告するよう求め、両機関は査察中に発見した兵器や関連物質を撤去または破壊する権限があるとしている。

査察の即時全面実施求め決議

国連総会は11日、イラクにIAEA査察への全面協力と、北朝鮮にNPTにもとづくIAEA保障措置の完全な実行を求める決議案を可決した。


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