[原子力産業新聞] 2002年11月21日 第2162号 <1面>

[原子力委員会] サイクルのあり方考える検討会

原子力委員会は18日、核燃料サイクルのあり方を考える検討会の初会合を開いた(=写真)。

東電の不正問題などを契機に核燃料サイクル政策に対する厳しい目が原子力発電所の立地する地元自治体等から注がれるなかで、今後、核燃料サイクルの全体像はどうあるべきなのかなどの具体的な検討を進めるうえで各層の意見を聞くため設けた検討会。この日、敦賀市の河瀬一治市長、岩本忠夫双葉町長、安達公司柏崎市助役の三氏が出席し、東電問題や今後の核燃料サイクル政策への見解を述べた。

このなかで河瀬市長は、今回の東電問題に関して「大変遺憾なこと」としながら、国の指導力の欠如や基準のあいまいさなどを指摘し、国に対して国民の信頼回復にむけた取り組みを要望した。その際、「いいことも悪いこともしっかり広報することが大事」との考えを示した。核燃料サイクル政策については、高速増殖原型炉もんじゅにもふれながら「技術を確立し、すばらしいものにしてもらいたい。それが地元の誇りにもなる」として技術の確立を進めていくべきとの見解を示した。

岩本双葉町長は、東電問題に関して、30数年にわたり地元との信頼関係を損ねる事態に「やりきれない気持ちだ」と率直な心情をあかし、今回の問題がモラルの問題であるとの認識を示したうえで検査員の質的な向上など国に検査体制の強化を求めた。一方核燃料サイクルに関しては「日本のエネルギー政策に誤りがあるから今回の不正が生じたとは考えない」として、今後も着実に政策の進展をはかるべきとの姿勢を示した。

柏崎市の安達助役も東電問題に関しては「本当に残念」とし、不正を把握できなかった体制に問題があるとの考えを示したうえで、信頼回復にむけ、随時立ち入り検査ができるよう地元部隊の増強などを求めた。


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