[原子力産業新聞] 2002年11月21日 第2162号 <3面>

[スウェーデン] バーセベックの閉鎖影響調査

スウェーデン政府のコンサルティング会社2社は1日、バーセベック原子力発電所2号機(61万5000キロワット、BWR)を03年末に早期閉鎖することは電力不足と電力料金の値上げを引き起こすとの調査結果を公表した。

この調査は同国のストックホルムに本部を置くAaFエネルギコンサルト社、およびバーセベック発電所が立地する同国南部のJ&W社が政府の委託により実施したもの。調査の焦点となったのは、(1)97年に決定した2号機の閉鎖条件を2003年末までに満たすことは可能か(2)同炉を03年秋に閉鎖した場合、同年および04年の冬季に南部地域で停電リスクが増大するか(3)閉鎖により新たな環境影響が出るか(4)閉鎖によりスカンジナビア半島の電力市場で電力料金の値上げが引き起こされるか‐‐などだ。

2号機の早期閉鎖がデンマークおよびドイツの石炭火力発電による電力輸入増加につながり、必然的に温室効果ガスの排出量も多くなるとの見解は2つの報告書で一致していた。両社はまた、03年末の閉鎖により実際問題として、04年初頭およびそれ以降、電力不足に陥るリスクが増大することになると指摘。早期閉鎖に伴う代替電源の確保など03年末までに閉鎖させる条件については両社とも「満たし得る」とする一方、「ほかに様々な問題を引き起こすことなる」点も強調していた。ただし、電力料金値上げへの影響について、片方の報告書は「比較的小さい」との見方を示している。

スウェーデン政府は今後、これらの調査結果を詳細に審議するため100余りの関係当局や機関、および企業などに配付する予定。新たに任命されたL・パグロツキー産業相はこれらの報告書の調査結果に微妙な差異がある点を指摘するとともに、政府が実際に2号機の閉鎖命令を出すか否かの根拠になるとの考えを表明している。


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