[原子力産業新聞] 2002年12月5日 第2164号 <1面>

[政府] 核燃料サイクルめぐり立地地域と直接対話

今後の核燃料サイクル政策の進め方をめぐり国は立地地域代表者との直接対話など、状況の打開にむけて取り組みを強めている。11月28日、政府は核燃料サイクル協議会を開き、木村青森県知事からの要望を受け原子力基本法に立地地元との協力関係を明確化する等の議論を始めることとした。また原子力委員会は3日に古川健治・六ヶ所村長と意見を交換し、サイクル政策の着実な推進で一致。一方、エネルギー政策をめぐり佐藤栄佐久・福島県知事は2日、県民との懇談会のなかで、記録不正問題等に対する国の対応に改めて不満を示し、「良いことも悪いことも情報を公開するべき」と一層の情報公開を求めた。

11月28日開かれた核燃料サイクル協議会にはサイクル施設の立地県である木村守男青森県知事と、福田康夫内閣官房長官ら関係閣僚、原子力委員長、電事連会長らが出席。前回、10月に開かれた協議会で木村知事から提起された6つの要請事項について意見交換が行われ、今回はその中の2つの提案(原子力施設立地道県と国との立場を原子力基本法等で明確に位置付けること、原子力安全・保安院の分離・独立)について意見が交わされた。

そのなかで、平沼赳夫経済産業相から臨時国会で審議中の独立行政法人原子力安全基盤機構の法案成立後に、同法人の組織として青森県に「核燃料サイクル施設検査本部」を設立する意向が示され、これを受け、木村知事は真摯な検討を評価するとの見解を示した。立地地域の協力を原子力基本法に盛り込むべきとの要望については、細田博之・科学技術政策担当相から「原子力政策を進めるうえで立地自治体の理解と協力は不可欠」との考えが示され、今後、原子力基本法への位置付けについて政府関係者、立地自治体の知事、事業者による検討の場を設ける方針が示された。木村知事から要望されていた原子力安全・保安院の独立に関しては、平沼経済相が、原子力安全規制については経済産業大臣と原子力安全委員会によるダブルチェック体制が最も有効であり、国の安全体制を強化するとの観点から再発防止策、原子力安全委員会の充実・強化等に関する方策の説明がなされた。

また、国会での審議などを踏まえ、安全規制のあり方、安全委員会と保安院の関係、保安院の組織のあり方等について幅広く議論していくことが大切との認識が示された。


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