[原子力産業新聞] 2002年12月12日 第2165号 <1面>

[文部科学省] 個別事業の見直しに着手

文部科学省は5日、第11回原子力二法人統合準備会議を開き、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の個別事業の評価・見直しを審議、両法人の事業評価をベースに効率的・重点的な新法人の事業のあり方の議論が行われた。

個別事業の見直しについては、10月の第10回準備会議以降、秋山委員を中心として9名の外部有識者グループが、原研、サイクル機構からヒアリングを行い、検討してきた。二法人で行われている核融合以外の事業を、(1)基礎基盤研究開発(2)プロジェクト型研究開発(3)安全性研究‐‐の三分野に分類して評価した。

原研の業務分野のうち、基礎基盤研究開発については新法人の中核となる分野の1つと位置付けつつも、革新型軽水炉や高温工学試験研究炉をプロジェクト型研究開発として新たな段階に進める場合には民間等、利用主体の主体的参加が必要とし、また、大型放射光施設(SPring‐8)の運転業務は他機関へ移管する。安全性研究は新法人の中核的業務の一つとしつつも研究課題については安全規制に具体的に寄与するものに重点化し、ハード面のみならず、リスクマネジメント等ソフト面でも安全規制へ貢献すべきとしている。

サイクル機構の事業については、統合前から各事業についてロードマップを明確化し、ある期間を区切って定期的に評価を行いながら実施すべきとし、オープンエンドの研究開発は行わないとしている。具体的には、高速増殖炉燃料サイクル技術開発を中心的業務とし、工学規模での試験の実施にあたっては国レベルでの厳正な評価を行うとしている。軽水炉再処理技術については、2005年までに役務再処理を終了、2010年頃までふげん燃料の再処理を行い、その後国レベルでの評価を行い決定するとしている。高レベル廃棄物地層処分技術については、原子力発電環境整備機構(NUMO)等との役割分担を行いつつ研究開発の中核を担うとしている。

この評価案について委員からは、必要な研究開発をすべて日本でやる時代は終わり国際協力で行うよう考えるべきとの意見や、新法人と原子力委員会との関係がはっきりしないとの見方が示された。また評価案が「もんじゅ」について、「運転維持管理費を売電収入でまかない可能な限り政府支出を縮減する」としたことに対して、研究開発の妨げにならないかとの懸念や電力系統運用の支障になりかねないとの意見が寄せられた。

次回の準備会議は2月6日、研究所・事業所毎のミッションの明確化についてと、効率的・効果的な経営・事業運営のあり方について議論される予定。


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