[原子力産業新聞] 2002年12月19日 第2166号 <2面>

[サイクル機構] CPFでの試験に着手

核燃料サイクル開発機構は11日、高レベル放射性物質研究施設(CPF)での先進湿式再処理試験を開始した。

東海事業所・高レベル放射性物質研究施設(CPF)は昭和57年以来、「常陽」等の照射済燃料を用いてのPUREX法をベースとした高速炉燃料再処理試験等を行ってきた。その結果、PUREX法が高速炉燃料再処理にも適用できることが確認できたため、経済性や環境負荷低減等の観点から、この技術をより高度化した「先進湿式再処理法」の開発を行うことを目的に平成8年3月に試験設備の改造工事に着手し、今年3月に終了していた。その後、一連の試験準備が終了したため、試験開始の運びとなった。FBRサイクル実用化戦略調査研究の一環として、同日「常陽」照射済燃料のせん断をはじめたもの。

今後、同燃料を使い高効率溶解試験やウラン・プルトニウム・ネプツニウム共抽出試験等のセル内での試験を来年1月下旬に終了する予定。さらに、晶析挙動確認試験、アメリシウム・キュリウム分離試験をグローブボックス内で実施し、来年3月下旬に今年度の試験を終了する予定。

これまでの先進湿式再処理法に関する開発試験では、照射済燃料等を用いた予備的な試験が個々のプロセスごとに行われたのみだった。このため、改造工事が終了したCPFで、照射済燃料や超ウラン元素(TRU)を用いた一連の工程試験を実施し、先進湿式再処理法に関する基礎データの蓄積を図っていく。

PUREX法は同機構が開発してきた湿式の再処理技術。これまでの湿式再処理法を高度化し、経済性、環境負荷低減、核拡散抵抗性等の課題解決に迫ろうというもの。


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