[原子力産業新聞] 2002年12月19日 第2166号 <6面>

[三菱重工業] 新型の点検ロボット開発

三菱重工業は11日、原子力発電所向けに、遠隔操作で階段昇降など複雑な走行も自由に行うことができるプラント内点検ロボットを開発したと発表した。PHS回線を通じてカメラを搭載したロボットを遠隔操作しながら、リアルタイムで施設内部の状況を確認できる。

開発した点検ロボット「MARS-i(マルス・アイ)」は、幅40センチメートル、長さ1メートル60センチメートル、高さ55センチメートル、重量80キログラム。前後対称構造の四輪クローラの搭載により、段差25センチメートル、傾斜45度までなら前進・後進どちらからでも階段や段差の上り下りが可能。クローラを垂直に立ち上げ、ロボット本体の長さを78センチメートルに縮小させながら本体を回転させることも可能で、階段の踊り場や狭い通路のコーナーなども無理なく走行できる仕組みになっている。

原子力発電所内での監視・点検だけでなく、人間の立ち入りが困難な一般の災害・事故現場での監視作業などへの活用も期待できる。

価格は標準仕様で約3,000万円。電力会社や官公庁、民間企業などを対象に、当面、年間10台程度の販売を目指す。

操作は、1人のオペレーターがノートパソコンとハンディタイプのコントローラにより、PHS回線を経由して行う。ロボット本体に搭載されているカメラが撮影した映像はリアルタイムにノートパソコンに送信され、監視・点検場所の状況が把握できる。搭載されたカメラは、暗闇での視界も確保するための照明を採用したほか、上下90度、左右200度の各方向の映像撮影と、最大で約1メートル80センチメートルの高さからの撮影が可能。


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