[原子力産業新聞] 2003年1月7日 第2167号 <1面>

[環境整備機構]高レベル処分場、可能性調査区域の公募開始

 原子力発電環境整備機構(外門一直理事長)は、十二月十九日、高レベル放射性廃棄物の最終処分施設について、設置可能性調査を希望する自治体の公募を開始し、同日付で全国三千二百三十九の市町村長宛に応募書を送付した。応募できるのは市町村で、区域が複数の市町村にまたがる場合は当該市町村が連名で応募する必要がある。

 今回募集が始まったのは「概要調査地区」候補として、文献による適正調査を行うための地区。この調査ではボーリング等の地層調査は行われない。区域の面積は約十平方キロメートル程度を目安とし、地上施設部分は一平方キロメートル程度としている。

 同機構は、各自治体に熟慮の時間を与えるため、当面、締切は設けないとしているが、今後一〜二年間程度で応募を得たい考え。応募した地区は、文献調査後、報告書にとりまとめて開示し、最終的に経済産業大臣によって概要調査地区として承認される。

 同機構は、原子力発電の残された重要な課題は、「高レベル放射性廃棄物の最終処分を安全・確実に進めること」としている。

 高レベル廃棄物処分は、一九七六年の原子力委員会決定により、二十年以上にわたって研究開発が進められ、一九九九年には核燃料サイクル開発機構が、それまでの研究開発とりまとめ、「わが国においても地層処分は技術的に可能」と報告している。

 最終処分施設建設地は、国の計画では二〇二三〜二〇二七年(平成三十年代後半)までに選ぶことになっている。処分地選定は、概要調査地区の調査・選定、精密調査地区の調査・選定、最終処分建設地の調査・選定の三段階の手順を踏んで行い、それぞれのステップにおいて透明性の確保と地域の自主性の尊重を柱としつつ、進められることになっているため、今回、その第一段階として公募となったもの。


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