[原子力産業新聞] 2003年1月7日 第2167号 <面>

[原子力安全・保安部会]10月メドに新検査制度、保安院不正問題受け具体化

原子力安全・保安部会が十二月二十四日に開かれ、原子力安全・保安院は同部会で東京電力の原子力発電所自主点検記録等不正問題を受けて検査制度等の具体化を今年十月までをメドに行い、関係政省令に反映させる方針を説明した。同院では定期検査や保安検査、また使用前検査、燃料体検査の検査制度を見直す方針で、定検に関しては、検査内容の実施内容を具体的に省令で定めることで明確化をはかる。また今年十月設立予定の原子力安全基盤機構との分担も省令で定める考え。定検については、これまでの保安部会等の検討を踏まえ、抜き打ち的な手法を用いた検査方法導入などの具体的な内容を今後同部会の審議通じて具体化する。同部会に設置されている「検査のあり方に関する検討会」等で、こうした検査制度の具体化を検討していくとしている。

 また定期事業者検査と定期安全管理審査について、検査対象の設備の範囲を、技術基準が適用されている設備の範囲を踏まえて検討し、省令で定める。事業者検査の検査項目ごとの頻度や実施の方法については重要度を勘案して検討、また民間規格の活用を促し規制における活用を検討する。

 保安検査は、その対象である保安規定に事業者が確立すべき品質保証システムに関する要求事項を定めることとし、要求事項に関する省令を改正する。また国の要求事項に沿う具体的な品質保証活動の内容を記載した民間規格が策定されるよう促す、としている。国の要求事項や民間規格は、経営層による判断や本社による監査機能が確実に働く仕組みが必要で、策定される民間規格にはこうした点が反映されることになる。

 またこの日の部会で今回の不正問題の根本的な問題として、企業等の安全確保への価値観、態度といった原子力安全文化に関する問題を検討する「原子力安全文化の在り方に関する検討会」(仮称)を設置することを決めた。今月中に始動し、学識者等、また原子力事業者を入れて忌憚ない意見を聞くことにした。同検討会の委員長には、原子力安全・保安部会の村上陽一郎部会長が就く。


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