[原子力産業新聞] 2003年1月7日 第2167号 <4面>

[年頭所感] 文部科学大臣遠山敦子、ITER計画に取組み

 平成十五年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。  一昨年四月の就任以来、私は、「教育・文化立国」と「科学技術創造立国」の実現が我が国の将来にとって極めて重要との考えのもとに、全力をあげて教育改革、科学技術・学術の振興等に取り組んでまいりました。

 科学技術・学術の振興は、我が国の発展を支える原動力であるだけでなく、人類が当面する地球的規模の様々な問題を解決していくための鍵となるものです。

 

 そもそも科学技術は、日本経済の成長と構造改革を支え、希望ある未来を切り拓く原動力であります。「知」の世紀といわれる二十一世紀において、高い科学技術水準は国力の枢要な源泉であり、国民の生活や経済活動を持続的に発展させていく鍵となるものです。

 文部科学省としては、政府における研究開発の中核を担う立場にあることを踏えつつ、世界最高水準の「科学技術創造立国」の実現を目指し、社会経済発展の原動力となる「知」の創造と活用に向け、第二期「科学技術基本計画」に沿って科学技術および学術の振興に力を注いでまいります。

 このため、大学共同利用機関等を中心としたニュートリノ研究、加速器科学、天文学研究等の国際水準の先端的・独創的研究の推進、新たな「知」を切り拓く基礎研究等を推進するための競争的資金の拡充、科学技術・学術の優れた人材の育成、「国立大学等施設緊急整備五カ年計画」の着実な実施、最先端の研究施設・設備等といった研究開発基盤の整備、産学官のそれぞれのポテンシャルを活かした連携の推進等に一層積極的に取り組んでまいります。

 また、経済活性化、安心・安全な国民生活の実現など国家的・社会的課題に大きく寄与するライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等の研究開発を戦略的に推進するとともに、大学発ベンチャーの創出や大学等を核とする知的クラスターの創出など地域における科学技術の振興、「科学技術・理科大好きプラン」をはじめとする科学技術・理科教育、理解増進活動の充実などを図ってまいります。

 さらに、国の存立基盤となる宇宙、原子力、防災、海洋等の研究開発についても、質の高い国民生活の実現に資するよう積極的に推進することが必要です。

 原子力については、国民の信頼と安全の確保を大前提として、原子力研究開発の推進に最適な体制を構築すべく、原子力二法人統合に向けた検討を精力的に進めるとともに、高速増殖炉サイクル技術や国際協力によるITER計画への取り組みなど研究開発を進めてまいります。

 特殊法人等改革、公益法人改革、規制改革等の行政改革や、地方分権、構造改革特区、知的財産戦略の推進など重要な課題が山積しております。私としましては、国民の強い期待を真摯に受け止め、文部科学行政全般にわたり誠心誠意取り組んでまいる決意です。関係各位の御理解、御協力をよろしくお願いいたします。


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