[原子力産業新聞] 2003年1月7日 第2167号 <4面>

[年頭所感] 経済産業大臣平沼赳夫、信頼回復にむけ全力

 平成十五年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は「改革なくして成長なし」との小泉内閣の基本方針の下、日本経済の再生に向けて「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」等を策定し、総力を挙げ構造改革を推進してまいりました。経済産業省といたしましても、日本経済の中長期的な成長を見据えながら、あらゆる分野における構造改革に積極的に取り組んでまいりました。

 しかしながら、現下の我が国経済は、景気の持ち直しに向けた動きが見られるものの、そのテンポは緩やかになっており、予断を許さない状況にあると認識しております。私は、我が国の持てる潜在力を最大限に発揮できる社会を実現すべく、引き続き構造改革の推進に努めてまいります。

 日本経済の持続的な成長・発展を確保するためには、我が国の産業競争力の強化を図ることが重要であります。このため、実用化を視野に入れた研究開発プロジェクトである「フォーカス21」の創設等による予算の重点化を図るとともに、産学官連携の推進や研究開発投資減税等、民間が前向きに研究開発に取り組める環境の整備を図ってまいります。

また、「知的財産戦略大綱」の策定や「知的財産基本法」の成立等、昨年は政府一丸となって知的財産の創造・保護・活用の強化を推進してまいりました。今後は、知的財産戦略本部の設置、推進計画の策定の動きにあわせ、経済産業省といたしましても、これら大綱に従い、知的財産政策の推進に積極的に取り組んでまいります。

 エネルギー・環境政策につきましては、安定供給確保・地球環境対策・競争的市場環境整備の三つを柱とし、引き続き政策の推進に当たってまいります。

昨年六月の京都議定書締結を踏まえ、地球環境対策の一層の充実を図ることがエネルギー政策上の喫緊の課題となっていることに鑑み、関連予算の歳出・歳入を見直すとともに、エネルギー対策と地球環境対策との一体的推進等を図ることとしております。また、電気・ガスの安定供給を効率的に達成するため、電気事業法・ガス事業法を改正し、市場の競争環境を整備したいと考えております。

 最後になりましたが、昨年の東京電力による自主点検記録の不正記載問題は、原子力政策の根幹を揺るがす問題と認識しており、担当大臣として重く受け止めております。

国民各層の原子力発電に対する信頼を回復するため、事業者による検査を義務化するなど検査制度の強化を図ったところであり、併せて当省の原子力保安体制の見直しを徹底し、今後とも再発防止策に万全を期してまいります。


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