[原子力産業新聞] 2003年1月16日 第2169号 <1面>

[北朝鮮] NPTからの即時脱退を宣言

北朝鮮政府は10日、朝鮮中央通信を通じ核不拡散条約(NPT)からの「即時」脱退を宣言、白南淳外相が国連安全保障理事会にNPT脱退の書簡を提出した。安保理のドラサブリエール議長(仏)は近く安保理を招集、対応を協議する構えだ。ワシントンで7日に開かれた日米韓局長級による三国調整グループ(TCOG)で、米国が北朝鮮と「話し合いを行う用意がある」と態度を軟化させる一方で、北朝鮮は事態を一層緊迫化させている。

北朝鮮政府は声明の中で、米国の北朝鮮敵視政策により国家の尊厳と安全が侵害を受け、米国が国際原子力機関(IAEA)をこのために悪用しており、「わが国の最高利益が極度に脅威を受けている厳しい事態に対処して」、1993年6月11日に発表されたNPT即時脱退の「一時停止」を中止し、脱退の効力が翌11日に自動的に発生すると宣言、同時にIAEAとの保障措置協定の拘束からも完全に離れるとしている。

北朝鮮政府は、NPTから脱退しても核兵器を作る意図はなく、「現段階でわれわれの核活動はただ電力生産をはじめ平和目的に限る」ともしている。

NPT第10条は、加盟国が「異常な事態が自国の至高の利益を危うくしている」と認める場合は同条約から脱退できるとし、他の全加盟国と安保理に3か月前にその理由とともに通知する旨、定めている。また、NPTにもとづく保障措置協定(INFCIRC/153)の効力は、当該国がNPTに加盟する限り有効。安保理ではまず、北朝鮮が宣言する「即時」脱退の国際法上の有効性が問題になろう。

10日の記者会見で北朝鮮の朴吉淵国連大使は、「米国が敵対政策と核による脅迫を取りやめるなら、米国と北朝鮮の新たな検証メカニズムにより、核兵器を開発していないことを証明する意志がある」としつつも、安保理が制裁を科すならば「宣戦布告と見なす」と述べた。


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