[原子力産業新聞] 2003年1月23日 第2170号 <1面>

[原子力委員会] 「核燃料サイクル検討会」開く

原子力委員会は「核燃料サイクルのあり方を考える検討会」の第3回目を21日開いた。今回は安住宣孝・宮城県女川町長、佐藤淳一・北海道泊村長、中元清吉・愛媛県伊方町長、森卓朗・鹿児島県川内市長の4氏が出席して、各地域の状況や国の政策に対する要望を述べた。

4氏は国の核燃料サイクル政策の基本はゆるがないとの考えを示す一方で、不正問題等で増設等への影響もでていることから、原子力政策、そのなかでの核燃料サイクル政策の位置づけをわかりやすく説明するなどの信頼回復にむけた取り組みを要望した。

川内市の森市長は、まず一連の不正問題に関して「誠に遺憾」としながら、事業者の責任とともに国に対しても、調査に2年を要したことやその間、事前に何らの説明もなかった点などを指摘し、長期展望にたった国のエネルギー、原子力政策の方向性を改めてわかりやすく示し、説明する必要があると述べた。

泊村の佐藤村長は、不正問題に関し事業者と規制当局にきわめて不適切な対応があった点を批判、今後の信頼回復にむけて「小さな事でも情報公開する姿勢が大切」とするとともに、安全運転の実績を積み重ねていくことが信頼の基礎になることを強調した。また国には立地地域と電力消費地との認識ギャップ解消に、今後一層取り組むなど「誠心誠意の対応」を求めた。

女川町の安住町長は、地域振興のあり方や最近の市町村合併の動きなど広範な論点を示して、変遷する立地地域の事情も踏まえた国の取り組みを要望し、不正問題等に国、自治体、事業者が連携を密にして取り組む必要性を示した。

伊方町の中元町長は、地域の住民の合意がなければ原子力政策の進展は望めないとの見解を示した上で、不正問題で明らかになった原子力発電所の点検・検査制度のあり方について、国がいつでも立ち入り検査可能な体制をとる等の対応が必要とした。また事業者など倫理面の再教育を行う国の研修機構が必要ではないかとの提言も示した。

藤家洋一原子力委員長は、各氏との意見交換のなかで、様々な地域からの声を聞くことの重要性を強調し、今後原子力委員会を各地域で開催することに積極的な姿勢を示した。


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