[原子力産業新聞] 2003年2月13日 第2173号 <1面>

[原子力安全・保安院] 新検査制度に向け検討再開

 原子力安全・保安部会の検査の在り方に関する検討会が十日開かれ、原子力発電所の新検査制度具体化にむけた検討を再開した。改正された電気事業法や原子炉等規制法などの施行をにらんで今年十月までを目処に、事業者の行う自主点検の法定化等を織り込んだ新制度立ち上げに伴う技術的な検討を進める。

 原子力安全・保安院では、同検討会等の検討を踏まえて、今年三月から十月にかけて検査制度見直しを盛り込んだ関連省令の施行を行う方針だ。

 同検討会は、昨年七月までの検討により、あらかじめ定められた項目に沿った従来の定期検査の在り方を改めて、抜き打ち検査の手法も導入して施設の健全性だけでなく、その設置のプロセスや事業者の保安活動全般を確認する検査制度に移行する方針を固めていた。その後明らかになった東京電力の原子力発電所自主検査の記録等不正問題を受けて電気事業法等の改正が行われたことから、事業者が行う自主点検法定化等を織り込んだ制度設計を急ぐこととした。

 この日の検討会では保安院が検討の論点を説明、各委員からの意見を聞いた。保安院では、事業者が行っている自主点検の法定化に関して、点検の内容と方法を「定期事業者検査」として位置づけ、関連の省令により定める方針。検討にあたっては、民間規格を活用すること。また現在の実施内容や安全上の重要度等を参考にしてその内容を規定することを提案、将来的にはリスクや信頼性評価等の科学的手法に基づく検査内容・方法を設定する方向性を示し、同検討会での主要な論点にあげた。また同検査の実施体制(組織、検査方法、工程管理等)も適切かどうかをあわせて確認する「定期安全管理審査」も十月設立予定の原子力安全基盤機構によって実施されることとなっており、その運用の具体化も論点として提示した。不正問題等でも一層の改善が指摘された事業者の品質保証活動に関して保安院は、具体的な品質保証活動の内容を記載した民間規格の策定を促すべきとの考え方を示し、国の要求事項や民間規格には経営層の判断や本社による監査機能が確実に働く仕組みを盛り込む必要性をあげた。

 今後、保安院では、さらに具体的な検査内容・方法を詰め、関連する省令の改正案を作成、来月に同検討会を開いて、各委員からの意見を聞く。なお、定期検査の実施内容に関する省令は、今年三月十七日までに施行される予定となっている。その後今年十月に定期事業者検査の導入、新法人の原子力安全基盤機構の設立などが予定されている。


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