[原子力産業新聞] 2003年2月20日 第2174号 <1面>

[保安院] 「十分な構造強度」と評価

原子力安全・保安部会の原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会は18日、東京電力の柏崎刈羽3号機、中部電力の浜岡4号機、東北電力の女川1号機の炉心シュラウドでみつかったひび割れについて、原子力安全・保安院から調査とその評価について報告を受け、了承した。 原子力安全・保安院では、いずれのひび割れも評価の結果、シュラウドの強度は十分に保たれるなどとして、ただちに補修等の必要はないことを説明した。

柏崎刈羽3号機のひび割れは、昨年8月からの定期検査の際に炉心シュラウドの下部リングの溶接部外側近傍、またシュラウドサポートリング溶接部内側近傍に確認されたもの。

現行の技術基準などに照らして、東電からの報告内容を五年後の健全性評価を含めて検討した結果、5年後でもシュラウドの強度は十分(割れが進展しても破壊に至らないだけ必要とされる残存面積に対して十分な余裕を確保)と判断、ただちに補修等の対応は必要ないとした。中部電力の浜岡4号機に関しては、昨年九月からの定検でシュラウドの下部リング溶接部外側近傍にひび割れを確認したもので、検査で最大14の割れがあることが確認されていた。保安院では評価の結果、ひび割れがシュラウドの全周に均一の深さで存在すると仮定しても、5年後でも必要な残存面積に比べて十分な残存面積が確保されると評価、十分な構造強度が保たれるため、ただちに補修は必要ないとの判断を示した。女川1号機の場合は昨年9月からの定検で炉心シュラウドの中間部リングの溶接部外側など二か所にひび割れが確認されたもので、保安院では評価の結果、二か所ともに十分な構造強度を有することを確認したと説明した。

ただ保安院は、いずれの炉に関してもひび割れの進展状況を適切に監視していく必要があるとした。

またこの日、シュラウドの評価に続いて、再循環系配管にみられたひび割れの評価について議論が進められ、同配管の健全性評価方法等の考え方が保安院から説明された。

同再循環系配管については、これまでに女川1号機や福島第二・2号機など、計九プラントに確認されており、各電力会社は点検調査と健全性の評価を実施して保安院に報告している。割れの原因は応力腐食割れ(SCC)であると推定されているが、特にこれまでSCCへの耐性を高め実用化しているステンレス材であるSUS316(LC)にもSCCがみられたことから、点検等の方法を含め今後データ分析を重ねて所要の対応をはかる方針が保安院から説明された。


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