[原子力産業新聞] 2003年2月20日 第2174号 <4面>

[サイクル機構] 次世代技術めぐり議論

核燃料サイクル開発機構は13、14の両日、第四回JNC原子力平和利用国際フォーラム(=写真)を東京・江東区青海の日本科学未来館で開催した。原子力の平和利用技術による核不拡散への国際貢献、次世代の原子力システムの研究開発及び国際協力をテーマにした講演とパネルディスカッションが行われた。

「次世代の原子力システムの研究開発と国際協力」をテーマに行われたセッションIIでは秋山守エネルギー総合工学研究所理事長を座長に、今後の次世代炉等原子力技術開発をめぐる課題や展望についてパネル討論が行われた。米エネルギー省のゲイル・マーカス原子力局次長、仏原子力庁のジャック・ブシャール原子力局長、サイクル機構の相澤清人理事、日本原子力研究所の早田邦久理事がパネリストとして参加。第四世代原子力システム技術の開発プロジェクト(GenW)など国際協力で進む次世代技術開発を今後円滑に進める上での重要課題、特に各国内の状況を踏まえた産業界との協力関係などが話題にあがった。

討論のなかでマーカス氏は、第四世代原子力システム技術の開発プロジェクトに関して「現在はアイデアを絞り込む段階で、今ある五、六の炉概念候補から数年後くらいに二つ程度に絞り込むのが次ぎのステップ」として、段階的に進みつつある状況を説明。ブシャール氏は、今後の課題として「国内でのPA(パブリックアクセプタンス)や産業界との関係など各国の事情もあり、研究開発が具体化するにつれでてくる課題をひとつずつ解決していかねばならない」とした。特に産業界に関しては、多国籍化している状況もあって、今後プロジェクトの具体化が進むにつれてやっかいな問題になるとの考えを示した。

早田氏は、「各国の限られたリソースをうまく国際協調によって有効活用すべき」との考え方を示すとともに「技術ポテンシャルを継承するべき若手人材の育成も重要」と指摘した。

相澤氏は、サイクル機構が中心として進めている高速増殖炉の実用化戦略研究では産業界のニーズを直接取り入れる形で進めてきているとし、長期にわたる研究開発に企業は参加しにくい面を指摘した。そこで「実用化シナリオを政府なりが示し、フォーラムのようなものを形成して議論していけば、リスク投資も可能では」などの考えを示した。

今後の展望に関する議論では各パネリストから一般からの理解を得て進めることの重要性とその方策が議論された。また、技術的な蓄積の面で相澤氏は、高速増殖炉実用化戦略研究を通じた情報発信に加え、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の早期の運転再開や高速実験炉「常陽」での新しい炉心による稼働を通じた知識ベースの構築等に意欲を示した。ブシャール氏も、フェニックス炉が今後運転終了になるなどの状況を踏まえ「もんじゅは国際的な高速炉開発にとって、その運転再開が必要だ」と、もんじゅの早期運転再開への期待を述べた。


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