[原子力産業新聞] 2003年2月27日 第2175号 <4面>

[文科省・WG] 「技術士」資格に原子力部門

科学技術・学術審議会技術士分科会一般部会の原子力ワーキング・グループ(WG)が二十四日開催され、国家資格である技術士に原子力部門を新設するための検討をはじめた。WGとして四月中にも同部門の試験内容等の骨格を固めて報告書を科学技術・学術審議会に提出する予定で、今年七月頃には文部科学省が審議会の答申を受けて関連の省令を改正する方針。実際の原子力部門の試験が実施されるのは、来年度の見込み。

技術士は、高度の専門知識と能力、倫理を兼ね備えた技術者に与えられる国家資格で、航空、宇宙、建設等の二十の分野がある。合格者は技術部門の責任ある立場で活躍するなど、位置づけは高い。これまで原子力部門はなかったが、米国では原子力部門が設置されている。

日本でも安全確保を前提とする原子力分野にとって、高度な専門性と倫理を兼ね備えた技術者の確保が将来にわたり、ますます重要な課題となっている状況を踏まえ、原子力部門の新設について日本原子力学会から要望がでていた。

WGでは、初会合で今後の検討の進め方、論点等が検討された。社会的にも高度な知識を要する技術者の確保が重要であるとの認識のもと、既存の資格(必要資格として、原子炉主任技術者、放射線取扱主任者等)との関係、産業界等での活用の在り方などを論点に原子力部門の技術士が備えるべき技術的専門性や倫理等の中身を詰める。また実施する一次、二次試験の内容を詰めることにしている。今後、産業界などから同部門の新設に対する意見を聞いたうえで、骨格を固める考えだ。

現在、文部科学省では、BSS(国際安全基準)規制免除レベルの国内法令取り入れ検討にあわせて、主任者の選任の在り方なども見直しの対象となっており、既存の原子力関連資格の見直しも進んでいる。


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