[原子力産業新聞] 2003年3月6日 第2176号 <5面>

[中部電、東北電] 再循環配管のひび徴候、再測定を実施へ

中部電力と東北電力は2月26日、それぞれ浜岡4号機、女川1号機でみつかった原子炉冷却材再循環系配管のひび割れの徴候に関し、再調査することを明らかにした。

中部電力の浜岡原子力発電所4号機では昨年9月から定期検査で原子炉冷却材再循環系配管の溶接部二か所に確認されたもの。東北電力の女川1号機では、原子炉再循環配管の六か所の溶接継手部に確認されていた。ひび割れの徴候が確認されてから、両社はそれぞれ調査を実施したが、一部のひび割れに超音波による測定値と実測値に比較的大きな差が認められたため、再測定を行うことにした。

再測定等については、改善された超音波探傷法によって、ひび割れの寸法測定と該当する配管を切断してひび割れ長さと深さを実測する予定。準備が整い次第、調査をはじめる方針。

従来の超音波による調査方法は、探触子で、パルス状の超音波を発信し、反射波を受信することにより、ひび割れの有無を確認する手法をとっていた。超音波の発信する角度は一定であり、超音波としては横波を用いており、一つの探触子を移動させて探傷するもの。

超音波の横波は縦波に比べ波長が短く、縦波を使用する探傷法より小さいひび割れを検出することができることから、これまで横波を用いてきた。しかし、横波は伝搬方向に対して垂直方向に粒子が振動し、材料内で波が比較的減衰しやすい性質を持つ。一方で、縦波は伝搬方向に平行に粒子が振動するため、材料内で波が比較的減衰しにくい性質を持つ。

このため溶接金属内等で散乱により減衰しやすい部分では、横波よりも縦波の方が探傷に有利と考えられ、今回の再調査では、切断の前に従来の方法の横波を縦波に変え、「縦波斜角法」と呼ばれる方法で探傷する方針。

また従来の超音波探傷検査では一個の超音波発振子を用いているが、今回の調査では「フェーズドアレイ法」と呼ばれる方法を採用、複数の超音波発振子を用いて、超音波の角度を変えることにより、種々の形状のひびからの反射波を捉え、詳細なデータ採取を行うことにしている。


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