[原子力産業新聞] 2003年3月13日 第2177号 <3面>

[米NRC] 上蓋損傷に「赤」判定

米原子力規制委員会(NRC)は2月25日、デービスベッセ原子力発電所(91万5000キロワット、PWR)で発見された圧力容器(RPV)上蓋の損傷について、安全上最も重大なレベルであることを表す「赤」に暫定的に分類したことを明らかにした。

NRCは昨年から、原子力発電所の検査で発見した安全性に係わる事象を軽いものから順に緑、白、黄、赤の4段階に分類評価。デービスベッセでは昨年2月にRPV上蓋を貫通するノズルにクラックが発見されたほか、同ノズルの修理時に上蓋のノズル貫通部付近にホウ酸腐食による大きな空洞ができていることが判明していた。

NRCとしては今回、この事象を「赤」と評定したことから、同発電所の設備改善計画策定を所有会社に指示したり、フォローアップ検査を実施するなど、同発電所の改修に必要な強制措置を講じていくことになる。デービスベッセに関しては、この問題を理由とする停止の期間延長手続きを取るとともに、特別監視小委員会を設置してRPV上蓋損傷を引き起こす原因についてNRCの対応を調整していく計画。同小委員会ではすでに、原子炉の安全システムが設計通り機能していることや所有会社が同発電所の安全文化や管理問題に取り組んでいることを実証するための行動リストを作成しており、NRCはこれらの活動が適切に実行されているか否かの監視を行っている。

同発電所の運転再開は安全に操業できることをNRCが保証してから後のことになる見通しだ。


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