[原子力産業新聞] 2003年3月27日 第2179号 <1面>

[文部科学省] 原子力二法人統合会議開く

 文部科学省は25日、第12回原子力法人統合準備会議を開いた。同会議では、秋山委員が新法人の主要業務と経営・業務運営のあり方の検討結果を報告、議論が行われた。新法人の事業目標の設定にあたっては、省庁横断的な体制が必要なことから、原子力委員会を適切に関与させるメカニズムを検討する必要があるとの意見が寄せられた。

 今回の準備会議は前回の12月5日から3か月ぶりで、新たに電事連の兒島伊佐美副会長が委員として審議に加わった。

 はじめに挨拶に立った渡海副大臣は、本準備会議は今回で終了の予定だったが、審議事項が多岐にわたるため、来年度も引き続き審議を行いたいと述べた。

 秋山委員は、原子力新法人設立への検討のポイントとして、@国が定める事項と法人の裁量に委ねられる事項との仕分けA新法人と特色を発揮させるための具体的方策B職員の高いモラルと能力維持のための制度設計C統合効果による目に見える合理化D強力なトップマネジメント下での強い経営E原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理・処分の枠組みF原子力委員会の長計等の中期目標への反映――等を提示した。

 また、新法人の経営体制については、@ミッションの柱ごとに事業本部制を採用し研究所・事業所横断的に一体的・機動的な体制A現存の事業所・研究所の整理統合B廃止措置と廃棄物処理処分のための一元的運営体制C人文社会科学専門家の知見も活用した外部に開かれた経営――などを提案した。

 委員から寄せられた主な意見は、日本の原子力開発では原子力委員会が大きな役割を果たしており、同委員会を適切に関与させる必要があり、省庁の枠内で研究開発を考えるべきでない、原子力広報を新法人の活動の柱の一つとすべき、新法人の安全研究等に「数値目標」を取り入れるべき、廃棄物・廃炉の扱いは新法人の性格を決める重要問題であり「精算事業団」などで対応すべき、など。

 次回会合は5月23日、事業の具体像、廃棄物処分問題、経営基盤問題等を審議する予定。


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