[原子力産業新聞] 2003年4月3日 第2180号 <3面>

[スウェーデン] 政府04年末の閉鎖を議会に提案

 スウェーデン政府は3月20日、長期的な懸案事項となっていたバーセベック原子力発電所2号機の早期閉鎖問題について、「閉鎖条件を2004年前半までに満たせるよう対策を講じた上で、可能であれば同年末に閉鎖ということにしたい」と議会に提案した。

 この提案は、代替電源の確保など同炉の閉鎖条件を今年末までに満たすのは事実上難しいと認めた上で社会民主党の少数与党政権が左翼党および中央党とまとめたもの。これを受けて議会は直ちに審議を開始し、6月11日には最終的な判断を表明することになった。

 この提案で政府は具体的に閉鎖期日を設定するよう希望しているが、L・パグロツキー産業・雇用・通信相は「閉鎖条件問題を来年中に解決できるかどうかは100%確約できない」と言明。ただし同相は、政府の委託で独立の調査機関が昨年、閉鎖影響についてまとめた2つの報告の内容を吟味した上で「05年末までには確実になる」との見通しを示した。同相は今後、石油火力発電所から予備電力を調達する可能性についてシドクラフト社やヴァッテンフォール社と交渉するよう国家送電網公社であるスベンスカ・クラフトナット社に指示する方針だ。

 政府はまた今回の提案の中で、原子力全般の段階的な廃止を目的とする電力業界との今後の交渉にバーセベック2号機問題も含めたいとの考えも示している。

 なお、バーセベック2号機は昨年1年間に39億キロワット時を発電。スウェーデン全体の原子力発電量である655億キロワット時に貢献した。


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