[原子力産業新聞] 2003年4月10日 第2181号 <3面>

[米国際貿易裁判所] 米商務省に再考促す ウラン濃縮ダンピング訴訟で

 米国際貿易裁判所(CIT)は3月25日、米国市場でのダンピング疑惑により関税を徴収されている欧州のウラン濃縮企業らの主張を支持し、この件を米商務省(DOC)に差し戻すとの判断を下した。

 欧州のユーロディフ社とウレンコ社は「米国市場でダンピングに相当する低価格で低濃縮ウランを販売」、もしくは「本国政府から不公平な補助金を受け取っていた」として、2000年に米ウラン濃縮会社(USEC)から訴えられ、DOCの最終決定により昨年2月から反ダンピング・相殺関税を課されていた。CITの判断は、米国の商法で課税対象になるのは低濃縮ウランという生産物の販売であり濃縮役務ではないというもの。「DOCの判断は十分な証拠による裏付けがなく違法である」と指摘しており、欧州からの低濃縮ウランに関税を課した決定を再検討するようDOCに指示している。

 ウレンコ、ユーロディフ両社のほか米国の十九の原子力発電会社は今回のCITの裁定を歓迎。両社を併せても米国内での濃縮役務のシェアは二割程度に過ぎない点を改めて強調した。

 一方、USECは3月26日の声明で、「まだDOCの最終決定が覆されたわけではなく、反ダンピング関税および相殺関税は未だに有効」と指摘。この訴訟で最終的な決着が着くまでの一過程に過ぎないと強調している。


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