[原子力産業新聞] 2003年4月10日 第2181号 <7面>

[サイクル機構] もんじゅ運転再開への期待

 核燃料サイクル開発機構は3月28日、仏原子力庁のブシャール原子力局長、米国アルゴンヌ国立研究所のグランダー所長、同機構の中神靖雄副理事長との間で共同ステートメント「高速炉開発の重要性ともんじゅへの期待」を発表した。以下にその内容を紹介する。

 欧米及び日本における実験炉、原型炉の建設を含む、段階を踏んだ開発プロセスを経て、高速炉技術に関する多くの知見が得られてきている。また、高速炉開発計画を有する国の一つであるロシアでも、高速原型炉BN−600が今もなお高い稼働率で運転されており、これに続く商用炉BN−800の建設を進めている。

 フランスでは1998年にスーパーフェニックスの運転を中止したが、将来にわたって高速炉の開発を継続することを決定した。これまで優れた運転実績を残してきた原型炉フェニックスは、放射性廃棄物の消滅に関する研究等の為に、2008年まで運転を継続する予定である。フランスでは、ガス冷却高速炉開発などの新たな高速炉分野への展開を進める一方、ナトリウム冷却高速炉に関しては、これまでの30年に及ぶ研究開発を通じて蓄積された知見を基に、もんじゅの利用等の国際協力を活用し、技術の維持・発展を目指している。

 米国では、カーター政権当時設定された、プルトニウムの反民生利用政策の下、高速炉開発を長期にわたって中断してきたが、一昨年、持続可能性、放射性廃棄物による環境負荷の低減、核拡散抵抗性に優れた「第4世代原子力システム」の開発に向けた取り組みを開始し、日本、フランス等を含む九か国が参加することとなった。参加国はプルトニウム利用の重要性を確認するロードマップを策定し、六つの有望概念が選択された。ロードマップに従って、こうした革新的なコンセプトの開発に向けた国際的な取り組みが開始されることになっている。

 このように、世界では高速炉と燃料サイクルの重要性を認識し、その開発を継続的かつ効率的に進めるための協議を行っている所であるが、これまで欧米諸国が果たしてきた、高速炉燃料の照射試験施設の提供や原型炉の運転による高速炉技術の蓄積が、今、日本に期待されている。

 もんじゅの運転により、世界規模での高速炉技術の実用化に不可欠な各種のデータ蓄積を達成することが可能であり、日本には、もんじゅの速やかな運転再開に向け、あらゆる努力が求められる。


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