[原子力産業新聞] 2003年4月17日 第2182号 <1面>

[原産] 第36回原産年次大会が開幕

日本原子力産業会議は15〜17日、第36回原産年次大会を開催した。福井県の敦賀市(15日)および福井市(16、17日)の2会場で開かれた今大会の基調テーマは、「国民の理解を求めて−原子力のさらなる発展のために」。日本を含む世界各国から1300名を超える関係者が一堂に会し、3日間にわたり講演・パネル討論等を通じて様々な意見を交したほか、一般市民を含む各分野からの参加を得た率直な意見交換および、原子力関係者と地域との交流が図ることを目的とした各種催し等が行われた。

初日の15日は敦賀大会。会場となった敦賀市民文化センターには、日本を含む17か国・地域、6国際機関から約1300名が参加した。オープニングセッションで、西澤潤一原産会議会長は、福井県に日本で初めてBWRが建設されて以来、多くの原子力施設が立地され、今やわが国の「原子力センター」となっている敦賀市において、「関係各位の長年にわたるご協力とご理解に対して心から感謝を申し上げるとともに、栗田知事のご招請をいただき、主催者として本当に嬉しく思っている」と、福井および敦賀市における開催の意義を強調。また、「本大会において、今抱えている様々な課題について十分に議論を行い、是非とも解決のための糸口を見つけ出したい」と、表明した。

引き続き挨拶した栗田幸雄福井県知事は、東京電力における自主点検作業記録の不正問題および、原子炉設置許可を無効とする「もんじゅ」控訴審判決が出されたことにより「国民、県民の間に大きな動揺、不安が広がっている」として、国においては「国民、県民から信頼される安全規制体制を確立するとともに、高速増殖炉サイクル技術開発の意義や『もんじゅ』の位置付けと果たすべき役割について、国民や県民の理解が得られるよう、さらに積極的に取り組む必要があると考えている」と述べた。

同知事は、「もんじゅ」に関する名古屋高裁の判決を真摯に受け止め、今後の国の対応を含めてその推移を注意深く見守るとともに、「県が独自に設置している『もんじゅ』安全性調査検討専門委員会の結論を踏まえ、県民の立場に立って慎重に対処していく」方針を表明。さらには「国民合意を形成するためには、国民一人ひとりがエネルギーや原子力の将来について真剣に考え、しっかりと理解する必要があり、そのためには、学校教育や社会教育において、国民、県民の視点に立った創意工夫に溢れた様々な取組みが必要であると考える」とした。


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