[原子力産業新聞] 2003年4月17日 第2182号 <1面>

[原産] サイクル確立を訴え

第36回原産年次大会15日の、オープニングセッションに続く特別講演午前の部では、都甲泰正・核燃料サイクル開発機構理事長を議長に、3名による講演が行われた。

最初に講演「わが国の核燃料サイクル政策−基本政策と現実方策」を行った藤家洋一原子力委員長(=写真右下)は、「原子力委員会は発足以来、燃料サイクル確立の重要性を訴えてきた」と述べるとともに、この基本政策は「長い時間をかけて取り組んでいくことを前提に掲げられるもの」として、現実方策は、基本政策の掲げる全体像と長期展望の上に立ち、現実に即して柔軟に捉え、具体的手段をもって変更されるべきものであるとの考えを示した。

「もんじゅ」については「21世紀の循環型社会の成立に向け、日本が先行して資源問題を解決し、環境にも適合した原子力システムを作り上げていくことは、資源小国が科学技術立国を目指して行くためにも是非とも進めたい」とした。

続いて「原子力の平和利用に果たすIAEAの役割」を講演した、V.ムロゴフIAEA事務局次長は、「今日は、原子力のパイオニアの時代だが、短期的な障害もある」として、障害に焦点を当て、克服していく必要性を強調。IAEAが現在取り組んでいるINPROが、非常に大きな役割を果たすと解説した。

また、A.ローベルジョン・アレバ経営取締役会長は、フランスにおいて現在、将来のエネルギーの選択について公開討論が行われており、この結果を踏まえ、「仏政府は今年秋に、この重要な分野の長期方針を議会に提示する予定」と現状を紹介。加えて「フランスでは、議会が2006年までに、どのような処分方法を実施するかを決定する必要がある。政治的意思とパブリック・アクセプタンスがあれば、原子力の再生に向けてすべてが整ってくる」と、展望を語った。


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