[原子力産業新聞] 2003年4月25日 第2183号 <1面>

[北朝鮮核開発問題] 北京で米朝中協議

 米国務省のバウチャー報道官は、21日、米国、北朝鮮、中国三か国の代表が、23〜25日まで、北京で北朝鮮の核開発問題等について多国間協議を行うと発表した。米国側からはケリー国務次官補を代表とし、国家安全保障会議、国防総省、国務省など七名が参加、北朝鮮は李根・外務省米州副局長等、中国からは傅瑩・外務省アジア局長等が参加する。ケリー国務次官補は昨年10月、平壌を訪問、北朝鮮側にウラン濃縮計画の証拠を示している。

 バウチャー報道官は、この協議が北朝鮮の核開発計画の検証可能かつ不可逆な中止に向けた「最初の協議」とし、「日本と韓国の参加なしには、実体のある結果が得られるとは思っていない」と述べ、日韓等が今後の多国間協議に加わることが重要だと強調した。ケリー国務次官らは、北京での協議終了後、韓国と日本に立ち寄り、両国政府と協議の予定。

 北朝鮮の国営朝鮮中央通信が18日、英文で「核燃料棒八千本の再処理を成功裏に進めている」との同国外務省スポークスマンの談話を伝えたため、米国側は今回の協議中止を検討。その後、同談話の朝鮮語原文が「八千余本の使用済み燃料棒の再処理作業が最終段階で成功裏に進められている」となっていることが判明、再処理を始めた訳でないことが判り、米国側も協議に応じることとなった。北朝鮮は同談話の中で、今回の協議では、「中国側は開催国としての役割を行うようになり、核問題の解決と関連した本質的な問題などは、米朝双方間で論議することになる」と述べているが、バウチャー米報道官は、「中国が協議へ全面的に参加する」とし、あくまでも多国間協議だと強調した。

 ブッシュ大統領は20日、「中国は非常に重要な責務を引き受けた」と、対話実現に向けての中国の努力を評価、「中国は朝鮮半島非核化の政策を採っている」とし、韓国、日本とも非核化を強く支持していることから、米国を含む「四か国が共に働きかければ、北朝鮮に核兵器開発への野望を中止するよう説得できる可能性は大きいと信じる」と述べた。

 中国外務省の劉建超報道官は18日、「朝鮮半島の核問題は、対話を通じて平和裏に解決されなければならない」とし、「対話の実現には、全関係国の政治的意志と誠実さ、国際世論の支持が必要」と述べ、対話に向けて中国が「建設的な努力」を行ってきたと述べた。


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