[原子力産業新聞] 2003年4月25日 第2183号 <3面>

[原産年次大会] 仏の地下研04年末に完成

 第36回原産年次大会では福井大会「セッション3」終了直後、同セッションのパネリスト5名の共同記者会見が開かれ、仏放射性廃棄物管理庁のルバルス会長がビュールで建設中の高レベル廃棄物地層処分地下研究所について今後の日程を明らかにした。

 同庁では地下研の完成を2004年末か05年初頭を予定しており、06年に議会が処分方法について国家戦略を決定することを考慮すると、粘土層における実験期間は非常に少なくなると同会長は指摘。最終的に地層処分が選択肢として残った場合、ビュールをそのままサイトとするかなども含め10年にはプロジェクトを提案しなくてはならないと説明した。

 また、再処理工場から直接、廃棄物を処分場に持ってくる場合は50年くらい中間貯蔵する可能性についても判断が必要と言明。プロジェクトの提案から認可を得るまでさらに3〜5年かかることから、実際の操業開始は2020年〜25年、それより早まることは有り得ないとの認識を示した。また、「コスト的には他の国に比べると安い方」であることも明らかにしている。

 原環機構の竹内理事は、昨年12月19日に開始した公募の感触について、「簡単な質問から高い関心を伺わせる物まで合計百数十件、このうち約四十件は市町村から来た問い合わせ」であると公表した。ただし、地方自治体には検討すべき諸問題もあるようなので、同機構としては期限を設けず時間をかけて検討してもらう方針であることを強調している。

 日本のこの公募方式に関しては、処分場計画が進んでいる海外パネリスト全員が一致して「優れている」との見解を表明。カールション前オスカーシャム市長は「話し合いですべての疑問に答えていくという姿勢が重要」と評価したほか、フィンランドPOSIVA社のエイカス氏も「面倒なプロセスではあるが国益に係わる問題でもあり、たくさんの人材投入が不可欠になるだろう」と述べた。

 課題としてはルバルス氏が、サイト選定にあまり時間をかけ過ぎると、自治体の関心維持が難しくなる点を指摘。欧州原子力学会のリーシング副会長も「長期の間には自治体の中でも人が入れ替わる」とし、ある程度の日程を設ける重要性を強調した。


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