[原子力産業新聞] 2003年5月29日 第2187号 <1面>

[G8外相会談] IAEA予算増額で一致

 主要先進8か国(G8)の外相会談が22、23日の両日、パリで開かれ、核兵器を含む大量破壊兵器の拡散、北朝鮮とイランの核開発問題などに深い懸念が示された。

 会議では、大量破壊兵器の拡散とテログループ等による使用の危険の増大に深い懸念を表明、国際原子力機関(IAEA)等の機能を活用・強化することで合意、IAEA保障措置の効率性や優先順位付けの改善を前提に、IAEA保障措置関係予算の増額に大筋で一致した。IAEAは過去10年以上にわたり、ゼロ成長予算を強いられている。

 北朝鮮の核開発問題については、「国際的な平和と安定に対する脅威」とし、北朝鮮に対し、核不拡散へのコミットメントを守り、事態をエスカレートさせるような行動を取らないよう国際社会が求めることで一致、また、核兵器プログラムを完全、迅速、検証可能かつ不可逆的な形で廃棄に着手するよう求めている。4月に北京で開かれた「三者会合」を平和的解決に向けた第一歩と位置付け、韓国、日本、ロシア等を含む多国間協議の場として継続するよう求めている。

 IAEAに未申告のウラン濃縮等が明らかになったイランについては、その核開発計画に強い懸念が各国から表明され、イランに対し、IAEA保障措置追加議定書等への加盟を含め、信頼性醸造を求めるとともに、「建設的な対話」の維持を呼びかけている。


川口外相、原潜解体で訪ロへ

 G8外相会談の際に行われた日ロ外相会合では、ロシアのイワノフ外相より、非核化委員会を通じた退役原子力潜水艦解体での協力の順調な進展に、歓迎の意が示された。

 これに対して川口外務大臣は、間もなくヴィクターV級原潜の最初の解体作業が行われることから、ウラジオストックを訪問し、その現場を見てみたいと述べた。外務省によると、川口外相のウラジオストック訪問は、夏頃の予定でロシア側と調整中という。


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