[原子力産業新聞] 2003年5月29日 第2187号 <3面>

[オーストラリア] 処分場サイトを決定

 オーストラリアのP・マクゴーラン科学相は9日、低レベルおよび短寿命・中レベル放射性廃棄物の国立処分場建設地をサウスオーストラリア州の中央・北部地区にある「40a」サイトに決定したと発表した。

 豪州では商業用の原子力発電所は稼動していないが、放射性同位元素の様々な分野での利用により発生した布、紙、プラスチック、ガラス、軽度に汚染した土壌などの低レベル廃棄物のほか、産業用計測器や煙探知機など半減期が30年以下の中レベル廃棄物が3700立方メートル分が存在。今後も年間50立方メートル分が新たに排出されるとしている。

 これらを安全に処分するため、豪州では原子力開発利用国の例に習い、地下15〜20メートルの位置に国が所有する処分場の建設計画を92年から開始。厳密な科学評価や地権者達との協議の末、複数の候補地の中からサウスオーストラリア州中央・北部地区内にあるウーメラ周辺の3地点に候補を絞った。これらについては詳細な地質学的および水文地質学的な調査を行ったほか、2001年から02年までの間には環境保全に関する評価も実施した。環境影響声明書(EIS)を審査した結果、環境相は3地点の中でウーメラ北西部の「52a」サイトについては建設すべきでないとして却下。科学相は残ったウーメラ北東部の「45a」サイトと東部の「40a」サイトのうち、最終的に後者の方を「警備上の利点がありアクセス経路による環境への影響が少ないほか、牧羊に適さない塩水が多く存在する」などの理由で選定したと説明した。同サイトではまた、地下水面が地表から65メートルの深さにあり、地表水が到達するまでに1万1000年〜3万3000年かかるとしている。

 この処分場は1.5キロメートル四方の敷地内中央に100メートル四方の広さの部分にスチール製あるいはコンクリート製の処分トレンチを埋設する設計で、最深部は地下15〜29メートルほど。オーストラリアの放射性固体廃棄物のみを対象にしており、施設の環境評価や建設、操業など同プロジェクトにおける様々な作業を民間企業が請け負う予定だ。まず50年間の操業期間を経て状態の審査を実施。施設を閉じた後は200年間の監視期間に入り、その後は別目的に利用するとしている。

 処分場の実質的な建設作業開始までには、今後さらなる環境評価と許認可手続きを無事に完了しなければならないが、科学相は「来年にも操業を開始できるよう期待している」とコメント。なお、建設・操業の段階に入っても段階毎に豪州放射線防護・原子力安全庁の承認が必要になる。


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