[原子力産業新聞] 2003年6月5日 第2188号 <1面>

[原子力安全・保安部会] 健全性評価小委、改良測定法の有効性を確認

 4日に開かれた原子力安全・保安部会の原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会(委員長=佐藤一男・原子力安全研究協会理事長)で、原子力安全・保安院は原子炉再循環系配管に係る超音波探傷試験の信頼性確認試験などの状況報告を行った。また中部電力の浜岡4号機のシュラウドにみつかった応力腐食割れと推定されるひび割れに関しても報告し、5年後までの健全性は確保されるとの評価を示した。

 健全性評価小委は、原子炉再循環系配管にみられた応力腐食割れと推定されるひび割れについて、一部に割れの深さ測定の誤差がみられたことから、検査方法を改良して測定精度の確認をしたうえで健全性評価を行うことが必要との見解を示していた。

 このため保安院では、発電設備技術検査協会に委託し改良法の信頼性を確認する試験を実施した。従来の超音波探傷法で横波を中心に使っていた測定法から縦波を使う測定法を、また複数の超音波発振子を使い角度を変えながら測定する方法など、いくつかの改良法について信頼性を確認する試験を行った。5月26日に実際に東京電力の柏崎刈羽発電所において、同1号機の再循環系配管のサンプルを使って試験した結果から、十分に測定精度を有していることがわかったという。同試験の結果を評価した保安院は、ひび割れのあったSUS316L材の測定に有効との評価結果を示した。

今後、保安院では同様なひび割れが見つかった各プラントで、現在も調査を行われていることから、得られたデータも参考に改良法の信頼性を確認していく方針としている。

 また保安院は、中部電力の浜岡原子力発電所4号機炉心シュラウドで昨年9月からの定検中にみつかったひび割れの健全性評価も報告。5年後までの評価でも健全性に問題ないとし、直ちに補修する必要はないとの見解を示した。


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