[原子力産業新聞] 2003年6月5日 第2188号 <3面>

[スウェーデン] 欧米がロシアと 核廃棄物の浄化協力で協定

 スウェーデン政府は5月21日、ロシア北西部に残る東西冷戦期の核廃棄物の浄化とロシアの原子炉の安全性改善で欧米諸国とロシアがストックホルムで国際協力協定に署名したと発表した。

 「ロシア連邦における多国間原子力環境プログラム(MNEPR)」と呼称されたこの協定は、主にロシア北西部に残された原子力潜水艦など、同国を発生源とする核廃棄物の環境汚染問題に対する国際的な取り組みの一環として5年に及んだ交渉の末、締結されるもの。同国における原子炉安全と使用済み燃料など放射性廃棄物の管理、および原子力潜水艦や原子力船の廃止措置で国際的な支援を促す法的な枠組みとなる。具体的には@軍事区域への立ち入りA付加価値税など関係する税の免除B事故時の責任の所在――など、協力活動を実施する際に最も重要な条件を規定する手段になるとしている。

 この協定の署名までにスウェーデン政府はロシアとの交渉において主要な役割を果たしたと強調。同様にこの協定の署名国であるフランス、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツ、オランダ、ノルウェー、英国、米国、欧州委員会(EC)、欧州原子力共同体(ユーラトム)を代表する形でスウェーデンのA・リンド外相、フランスのD・ドゥビルパン外相がロシアのI・イワノフ外相とともに同協定の署名式典に出席したとしている。

 MNEPRにより、参加国はロシア北西部のコラ半島に残っている大量の放射性廃棄物(主に原子力潜水艦の廃止によるもの)などの管理処分で積極的な支援を提供していくことが可能になったとリンド外相は強調。実作業を請け負うことになる企業も関連プロジェクトに参加する際に十分な保証が得られることになるとしている。

 リンド外相はまた、MNEPRにより「北部地域環境パートナーシップ(NEDP)」の支援基金から約6200百万ユーロの流用が可能になったことを明らかにした。この基金はバレンツ海などロシア近海に放置された廃艦原潜などを適正に処理するために昨年7月、EU加盟6カ国とECが創設していた。


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