[原子力産業新聞] 2003年6月12日 第2189号 <3面>

[米NRCの司法機関] 電力8社連合の建設計画を支持 廃棄物一時貯蔵施設

 米原子力規制委員会(NRC)に付属する独立の立場の司法機関である原子力安全・認可審議会(ASLB)は5月27日、ユタ州に使用済み燃料の一時貯蔵施設の建設を計画している民間燃料貯蔵企業連合(PFS)について、その財政的な能力を保証するとの判断を下した。

 PFSは原子力発電所を所有する八つの電力会社で構成。連邦政府の最終処分場が完成するまでの間の使用済み燃料貯蔵のため、地上施設の建設をユタ州西部のインディアン居留地区内に総工費31億ドルで計画している。97年にインディアン部族と借地契約を交わした後、NRCに計画を申請していた。

 これに対してユタ州は、「PFSは財政難に陥っている可能性があり、計画を進める責任能力に欠ける」として施設の建設に異議を唱えた。ASLBは2000年半ばに正式な公聴会を開催してこの件に関する複数の証拠文書を取得。今回最終的に、「PFSには施設を建設、操業、廃止していくだけの財政能力がある」との判断を示したもの。ASLBとしてはこのほか、5月22日に個別の小委員会が「一時貯蔵施設は地震に対する耐久基準を満たしており、設備が重大なリスクを負うことはない」と結論付けている。

 ただし、同施設には軍用機が衝突する可能性が高いほか、廃棄物輸送用の鉄道の環境影響に関して結論が出ていないことから、同計画に対するNRCの認可はまだ発給されていない。


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