[原子力産業新聞] 2003年6月19日 第2190号 <3面>

[南ア] 高裁、実証炉計画擁護 PBMRの建設巡り

 南アフリカのPBMR社は4日、同国国営電力のエスコム社の主導で進められているペブルベッド・モジュール型炉(PBMR)開発で、実証炉の建設計画阻止を狙った環境保護団体の試みをプレトリアの高等裁判所が却下したことを明らかにした。

 エスコム社がケープタウンのクバーグ原子力発電所サイトにPBMR実証炉を建設する許可を環境問題・観光省に申請したのに対し、環境保護団体「アースライフ・アフリカ」は、同省の長官が認可発給の判断を下す前に今一度、同団体に抗議の機会が与えられるよう高等裁判所の指示を緊急要請。また、環境問題省が裁定を下す際の根拠とするすべての文書についても閲覧を希望していた。

 高等裁判所のG・ウェブスター裁判官は、「PBMR計画の許認可手続きで担当省が判断を下す段階に到達しつつあることは半年以上も前に判っていたはずだ」として同団体の要請に緊急の要素はないと断定。同団体がなぜもっと早い段階で必要な手続きを取らなかったか説得力のある理由が示されなかったと説明した。

 環境問題・観光省はエスコム社が実証炉の建設認可を申請した後、公聴会の開催や意見書の募集など、国民参加型の認可手続きを実施。エスコム社は環境影響評価(EIA)報告の案文について様々な団体から意見を聴取し、すでに昨年10月、最終EIAの提出を済ませている。


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