[原子力産業新聞] 2003年6月19日 第2190号 <3面>

[豪州] ANSTO 研究炉建設で施工ミス発覚

 オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)は5月29日、ルーカスハイツ研究所で建設中の研究炉で原子炉プール・タンク壁の貫通部の配列に誤りがあったことを明らかにした。

 この施工ミスは、建設工事を請け負っているINVAP社が作成した詳細な設計図を、地元豪州の業者が誤って解釈したことから発生したとしている。INVAP社からミス発見の連絡を受けたANSTOは、この件を直ちに豪州放射線防護原子力安全機関(ARPANSA)に報告。それ以後両者は、規定の要件通りに事態が収拾できるよう、緊密な連携体制を維持しているという。

 地元業者は現在、施工ミス部を取り除くとともに、正しく製造したものと取り替える作業を実施中。今回の問題により周辺住民の安全に影響が及ぶことはまったくないとANSTOは強調している。また、修正溶接する部分はタンクの全溶接量の5%以下に過ぎず、国際社会と国内の基準を満たしていることが保証されるよう、後に厳しい検査とテストを実施することになるとしている。ANSTOはさらに、ミスが発生した経過と再発防止のための対策について報告するようINVAP社に指示した。


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