[原子力産業新聞] 2003年6月19日 第2190号 <4面>

[原研、サイクル機構] 合同報告会を開催

 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構は13日、東京・有楽町の朝日ホールで、「統合と新展開に向けて」をテーマに合同報告会を開催した。

 「研究開発の現状と将来展望」をテーマに総括報告を行った日本原子力研究所の岡崎俊雄副理事長は、同研究所の進める安全性研究や革新炉開発、核融合開発等の取り組みを紹介。特に核融合開発については炉工学技術等の技術課題を示した上で、今夏にも建設サイト選定のヤマ場を迎えるITER(国際熱核融合実験炉)の国内誘致実現に期待を表明した。核燃料サイクル開発機構の中神靖雄副理事長は、同機構の進める高速増殖炉開発、先進核燃料サイクル技術の開発状況などを説明。高速増殖炉の有望な炉概念の選定などを進める実用化戦略研究における原型炉「もんじゅ」、実験炉「常陽」等の役割等を強調するとともに、「もんじゅ」に対する理解促進にむけ説明会、シンポジウム開催等の活動に全力を注ぐ姿勢を示した。また「常陽」は炉心の高性能化(MK−V)をほぼ終えて、今月末にも性能試験を開始する予定であることを明らかにした。来月にも臨界、来年度からの本格運転開始をめざす計画という。

 特定テーマ報告のなかで、日本原子力研究所の早田邦久理事は「動き出した水素社会と高温ガス炉」をテーマに、同研究所が進めるHTTR(高温工学試験研究炉)による水素製造への展望を述べた。同氏は、欧米で脱化石燃料対策の重要な柱として注目される水素エネルギーの活用について、高温ガス炉の特長を生かして2008年頃にも、HTTRにより世界で初めての水素製造をめざす等の取り組みを紹介した。

 また「『ふげん』から『もんじゅ』へ」について核燃料サイクル開発機構の菊池三郎理事が報告。

 同氏は、新型転換炉「ふげん」におけるプルトニウム利用技術開発等の実績を述べるとともに、「もんじゅ」の運転再開により、プルトニウム利用の本格的な展開をはかる高速増殖炉の発電プラントとしての技術確立をめざす必要性などを強調。地元等の理解促進に全力をあげて、もんじゅの改造工事、さらに運転再開への歩みを進めていく姿勢を示した。

 報告会はこのあと、秋山守・エネルギー総合工学研究所理事長が「原子力研究開発新法人への期待」と題して特別講演を行った。


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