[原子力産業新聞] 2003年6月19日 第2190号 <6面>

[ハザマ、フラコム社] 包括的な研究協力協定結ぶ 深地層研究に照準

 ハザマは17日、放射性廃棄物処分施設の研究開発では世界的レベルのコンサルタント会社であるフィンランドのフラコム社(FRACOM社)と今月1日、放射性廃棄物処分に関する包括的研究協力協定を締結したと発表した。

 放射性廃棄物の地下処分研究に関して、スウェーデンとフィンランドは最先端の技術を実績を有しており、ハザマは2001年12月、スウェーデンのクレイ・テクノロジー社との間で同分野での包括的研究協力協定を結んでいる。

 今回の協力対象となる技術的範囲は、放射性廃棄物処分分野における掘削影響研究に関する(1)岩盤工学に関する基礎的な研究とエンジニアリング、およびモニタリング技術の開発(2)人工バリアの性能評価に関わる手法と技術──の2分野。

 ハザマでは、同協定に先がけて、核燃料サイクル開発機構が進めている「超深地層研究計画」における研究開発の一環として、昨年度、研究坑道掘削の事前予測解析を受注し、フラコム社の協力を得て実施している。

 フラコム社は、天然バリアとしての岩盤について、解析から室内および原位置試験まで幅広く調査・研究開発を展開しており、特に岩盤空洞を掘削した時、その周囲のき裂の発生や変化を予測する解析プログラムを用いた岩盤空洞周辺の掘削影響の予測解析技術は国際的に高い評価を得ている。 最近では、スウェーデン原子燃料廃棄物管理会社(SKB)のエスポ地下研究施設や、スウェーデン原子力発電検査機関(SKI)等での試験および評価の実績がある。

 ハザマは国際協力プロジェクトヘの参加等を通じて、フラコム社の研究者と密接な関係にあり、今回、両社の技術・研究能力をさらに有効に生かしていく目的で協定締結に至ったもの。今後、日本やフィンランドにおける深地層の研究施設での研究や、廃棄物処分プロジェクトへの参画に向けて、同協定に基づき、両社は共同研究を推進し、事業展開を図っていく。


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