[原子力産業新聞] 2003年6月26日 第2191号 <3面>

[OECD/NEA] 加盟国の原子力開発で報告書 03年のブラウン・ブック

 経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)は6日、加盟国のうち17の原子力開発利用国について2002年の原子力開発利用状況および将来の開発規模予測などを網羅した「原子力データ・2003年」(通称=ブラウン・ブック)を刊行した。

体で原子力発電量が2兆1700億キロワット時になるなど01年とほぼ同じレベルで推移しており、総発電量におけるシェアは前年実績の24.2%からわずかに低下して23.8%になったとしている。それ以降の予測としてブラウン・ブックは、発電量は05年までの間は約5%増加していき、2010年まででは約8%増になると指摘。しかし、シェアの方は05年で23.5%、2010年で22%に低下していくとの見方を示している。

 原子力の設備容量については02年は1.2%の増加。ただし発電設備全体に占める割合は01年の14.8%から14.4%に低下している。OECD加盟国における稼動中の原子炉は昨年末現在で三百六十二基を数えており、七基が建設中だ。このうち、五基は太平洋地域での建設で、同地域ではさらに八基の建設が確実であるほか、16基の建設計画が検討されていることを明らかにした。こうした状況からブラウン・ブックは、05年に加盟国の原子力設備容量は3.5%増、2010年までには5.9%の増加になるとの予測を示している。

 燃料サイクルのフロントエンドについては、燃料製造を除くすべての分野で所要量が生産量を上回っていた点を指摘。OECD諸国における2002年の天然ウラン生産量は約3万トンで同諸国全体の所要量に届いていない。不足分はOECD域外からの輸入や民間および軍事用の在庫、使用済み燃料の再処理、劣化ウランの再濃縮といった二次ソースからの供給で補われたとしている。また、燃料転換とウラン濃縮についても、引き続き輸入と在庫により不足分を賄っている状態だ。一方、域内における燃料製造能力の合計は所要量を50%以上、上回っていた。

 照射済み燃料の貯蔵能力についてブラウン・ブックは、必要量に合わせて今後20年間で大幅に拡大される見通しだと指摘。2020年には重金属で33万ト+ンが貯蔵可能になるとの予測を明らかにしている。


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