[原子力産業新聞] 2003年6月26日 第2191号 <3面>

[英BNFL] MOX工場、合法性巡り聴聞会

 アイルランド政府からの訴えを受けて、5名の国際裁判官がオランダのハーグにある常設国際仲裁裁判所で英国原子力燃料会社(BNFL)のセラフィールドMOX燃料製造工場の合法性を巡る聴聞会を6月10日から3週間の日程で開始した。

 アイルランドの主張は、国連海洋法条約(UNCLOS)の多くの条項に違反することを考慮せずに英国政府がMOX燃料製造の妥当性を決議したというもの。同工場から排出される放射性物質が英国とアイルランドの間の海を汚染しているとして操業の停止を求めている。聴聞会は6月27日まで開催されるが、英国側はアイルランドの主張に断固として抗議する姿勢を明らかにしている。

 英国のB・ウィルソン・エネルギー相はまず、「アイルランドの懸念は理解できるがMOX工場では統計的に有意な放射性廃棄物を発生させておらず、実質的に放射性物質排出の影響は無いというのが現実だ」と断言。工場の操業がアイルランドのみならず、その他のEU加盟国の環境にも悪影響を及ぼすことはないと欧州委員会(EC)が明言した点を強調したほか、アイルランドの主張には法律上も事実上も根拠がないことを英国は実証していく考えだと述べた。


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