[原子力産業新聞] 2003年6月26日 第2191号 <3面>

[EC] エネ問題情報ネットワーク構築へ

 欧州原子力産業会議連合(FORATOM)は17日、欧州連合(EU)域内住民の原子力問題に関する理解を一層促進するため、欧州委員会(EC)が「エネルギー研究情報コミュニケーション・グループ(ERIC)」と名付けた情報ネットワーク事業に乗り出したことを明らかにした。

 ERICの設置構想は、FORATOMが同日にベルギーで開催したセミナーの席上、ECのP・ビュスカン研究開発委員による基調講演の代読という形で発表されたもの。近年、EU全域規模で実施した世論調査の結果、欧州住民の多くがエネルギー問題に関する知識をほとんど持っていないことが判明したほか、三人のうち二人までが「放射性廃棄物の管理処分で安全な対策が保証されるなら自国で原子力オプションを維持しても良い」と考えていることが明らかになった。こうした背景から、ECとしては各国の関係省庁や産業界、非政府団体,学界、科学博物館などを交えたネットワークによって欧州住民のエネルギー問題に関する議論を促進し、一層関心が高まるよう努力していくことになったと説明している。

 FORATOMのP・ハウク事務局長は、「世論調査では大分以前から、EU域内住民の多くがエネルギー問題についてあまり知らされていないと感じていたことが判っているが、こと原子力に関して言えばそれは本当だ」と指摘。原子力産業界はこれまで、一般大衆に自らの活動の現状を知らしめるべく非常に努力してきたが、今やEUの関係機関や政府を巻き込んだ共同アプローチが必要であることを悟ったとしている。同事務局長はまた、将来のエネルギー需要を賄っていくための正しい選択がなされるよう、政治家と一般大衆がエネルギー問題について十分な知識を得ることの重要性を改めて強調。FORATOMとしてはECのこの事業に最大限の支援を提供していくとの考えを表明した。


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